社会的に最適な教育支援制度を考えてみよう(その5・所得連動型奨学金)

こんばんは。

社会的に最適な教育支援制度を考えてみようシリーズ、今回は最終回となります。
これまでの4回はこちらからご覧になれます。

エントリーNo.4 所得連動型奨学金

知名度の低い所得連動型奨学金ですが、調べたところしっかりJASSO(独立行政法人日本学生支援機構)はやってるみたいです。(参考:所得連動返還方式のご案内)まあ日本はシンプルな奨学金システムの方が普及していますが、世界では所得連動型奨学金は結構主流なようです。

簡単に所得連動型奨学金について説明しますが、その名の通り本人の所得によって返済額が変動するシステムとなっています。

というわけで、分析していきましょう。恒例ですが、分析の基準を示しておくと、

①資金制約の緩和
②教育の機会平等
③私的収益率の向上
④政策の簡素さ

この4つでしたね。

①の資金制約の緩和は当然満たしているのでもう割愛します。

②の教育の機会平等は最高に満たしていますね。親の所得に関係なく教育を受けられますし、最悪将来の所得が低くなってしまっても制度自体が不確実性に対する保険と化すので、奨学金を借りる受給者本人から見てもとても平等と言えることができます。

③もいいですね。もちろん所得が多い人はあまり恩恵を受けられませんが、先ほども述べたように将来の保険として機能します。最悪所得が低くても返す分だった返済金が軽減されるので、私的収益率は向上しますね。

④の政策の簡素さについては微妙でやや複雑です。が、前述した3つのメリットを鑑みるに、煩雑性というデメリットを打ち消すだけのメリットはあると思います。海外で徐々に導入されているのにも納得です。


あとこれ書き忘れたのですが、学費減免と教育無償化、特に教育の完全無償化に関しては意欲に欠けたテキトーな学生が増える恐れが高く、社会的な利益は極めて小さくなってしまうことが懸念されます。そうした観点だと、やはりある程度頑張ればリターンが見込める奨学金制度(スタンダード・所得連動型奨学金どちらでも)の方が望ましいのではないかと思われます。

そして、今はあまり景気がいい状態とは言えず将来的な不安も蔓延している中で、スタンダードな奨学金制度はちょっと将来の不確実性を軽視しすぎかなぁという気がします。やはり所得連動型奨学金がベターなのではないかなと思います。


ただこの連載の最初にも書きましたけど、私は教育経済学に精通しているわけでもなく、学習したアウトプットも兼ねて書いてます。間違っているところがあればどしどしTwitterなんかで指摘していただけると私の勉強にもなるのでありがたいです。

では、今回で「社会的に最適な教育支援制度を考えてみよう」シリーズは完結です。正直アクセス数は当初見込んだよりも少なかったですがwここまで読んでくださった皆さんどうもありがとうございました。

0 件のコメント

Powered by Blogger.