C4型光合成とは何か 仕組みや利点を解説

こんにちは。

今回はC4型光合成とは何かについて話していきたいと思います。

C4型光合成研究は1970年代にほぼ完成したのですが、今でも農作物の安定供給のためにC4型光合成を組み込めないかという研究は進められています。

C4型光合成とは

そもそもC4型光合成とは一体何なのでしょうか。

C4型光合成は光合成の過程の一種です。普通の植物はカルビンベンソン回路のみで光合成を行なうC3型光合成です。この回路では二酸化炭素の吸収を手助けするのはルビスコという酵素を用います。一方で、C4型光合成ではカルビンベンソン回路に加えハッチスラック回路を所持しています。ハッチスラック回路ではホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPC)を用います。

C4型光合成を行なう植物はC4植物と呼ばれており、トウモロコシや一部の雑穀、雑草などはC4植物に分類されます。

ハッチスラック回路の流れ


Wikipedia より

ハッチスラック回路は様々な種類がありますが、ここではトウモロコシやサトウキビなど多くのC4植物に組み込まれているNADP-ME型のハッチスラック回路を紹介します。

まず、CO2はカルボニックアンヒドラーゼ(CA)によって水和さHCO3-となります。その後PEPCによってオキサロ酢酸(OA)になり、葉緑体でリンゴ酸(M)に還元されます。このMとNADP+が反応しピルビン酸(Pyr)となります。ここでCO2が生成されますがこのCO2はカルビンベンソン回路に取り込まれます。残ったPyrはPEPとなり、最終的に再びOAが生まれますが、PyrをPEPにする過程でATPを消費していることに注意が必要です。

ハッチスラック回路の最終的な収支はATPを消費してCO2からCO2を生み出しているので一見無駄な作業に見えます。ここで行われているのはCO2の濃縮であり、光合成の効率を高めているのです。

C4型光合成のメリット・デメリット

C4型光合成の利点としては、植物が過酷な環境下でも光合成をおこなうことができる点です。

C4植物のCO2補償点はC3植物に比べてとても低くなっています。ルビスコは高温になるとオキシゲナーゼ活性が高まり補償点は上昇しますが、C4植物はルビスコを節約することができます。そのため、効率的に光合成を行なうことができます。

また、普通の植物は高温や乾燥下、強い日射を受ける場所では多くのストレスを受けてしまいますが、C4植物であればそうした環境下でも生き残りやすくなります。

近年地球温暖化が進んでいて地球環境の悪化が懸念されている中、過酷な環境でも食糧を安定供給するためにC4型光合成を既存の植物に組み込む試みが行われています。

一方で、ハッチスラック回路ではATPを消費してしまっています。そのため、そこまで厳しい環境でなければC3植物の方が有利になります。

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