自動車の自動運転化が進めば交通渋滞は増加するのか?

ここ最近車の自動運転化の研究が続いています。JAFによればもう既に運転操作の主体が自動運転化システムでOKなレベルにまで達しているとか。(ドライバーはすぐに運転に戻れるという条件付きで)

今回はその自動運転化に関連して、渋滞のトピックを取り上げようかと思います。

先日面白い記事を見つけました。英語なのですが興味がある方はどうぞ。

この記事に登場するアメリカの著名な都市デザイナー、ピーター・カルソープ氏が主張しているのは、「自動運転化が進めば渋滞が増える」ということです。

意外な感じがしますよね。直感的に自動運転化が進めば、システムが効率的に動くことで渋滞は減少するように思えます。

ではカルソープ氏がこう主張する根拠を見ていきます。彼は先行研究を基にシミュレーションを行い、渋滞が増えるとみています。なぜか。

自動運転化が実現すれば、当然誰もがその利益を得ることになるでしょう。誰もが移動することに対する障壁が軽減されます。すると、これまで公共交通機関を用いて移動していた人でさえも代わりに自動運転化された車を用いて移動を始めるので、車を使う人が増え、渋滞が増えるのではないか、というわけです。

この主張はジェボンズのパラドックスに通ずるところがあるなと感じました。ジェボンズのパラドックスとは、技術進歩で資源の効率性が上がったのに、かえって資源を消費してしまうようになる、というパラドックスです。これが提唱されたのは19世紀に石炭利用が増えたことが背景にあるのですが、利便性の向上で需要が大幅に増大してしまうという意味では似ているなと考えました。

ところで、ここでのカルソープ氏の主張は「車両 1 台あたりの乗車人数が今と変わらない」という前提でのこと。ではそこを改善するという意味で、相乗りサービスの拡充を図ってみてみてはどうだろう、と考えました。

今の時代Uberのように「マッチングさせる」システムの技術はほぼ成熟しています。例えば乗る前に行き先を指定しておき、大体同じ方向の行き先の人と相乗りで移動する。自動運転化が実現している想定でのお話なので車内を相乗りしている人が見えない構造にする、とかすれば利便性が上がるような気がするのですが、どうでしょう。(まあそもそも実現するのがだいぶ先の話だとは思いますが)

ちなみに記事でカルソープ氏は代替策として、autonomous rapid transit(直訳すると自動高速輸送?)を挙げています。路面電車のようなバンの専用道路を敷設し、そこを高速で走らせるという案です。特徴的なのは、このバンが列車のように連結できるということ。同時に走らせることができるので、大量輸送も可能とのこと。こちらも面白そうですね。

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