ロードプライシング制度は交通渋滞の切り札になるのか

こんにちは。よもぎです。

ここんとこゲームやブログ、Twitterばかりして「リアルの方は充実していないのか?」とツッコミが入りそうなのですが、しっかりやっています笑

今日はサークルの会合があるので、この記事を書き上げた後に向かおうと思います。


さて今回のテーマはロードプライシング制度について。

最近CSLで遊んでいるのですがこのゲーム、普通に遊んでいると渋滞解消ゲームと化す特質がありまして(笑)その対策を考えなければなりません。

ということでロードプライシング制度がどういった制度なのか、そしてどんな効果をもたらすのかについてまとめていきたいと思います。


ロードプライシング制度とは

まずロードプライシング制度という言葉自体聞きなれない単語だと思いますので、最初にざっと説明から入りましょう。

ロードプライシング制度はズバリ、通行する車に対してお金を請求するという制度です。「いやいや、通行量を取ってるのは高速道路でしょ」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、実は高速道路もロードプライシング制度の一つなのです。

ただし、今回取り上げたいのはあくまで「渋滞解消のための」ロードプライシング制度。主に一般道におけるロードプライシング制度に着目します。

「いやいや待てと、一般道は公共のものなんだから課金なんてもってのほかでしょ」という方もおられるかもしれませんが、実際のところ欧州なんかではごくごく普通の制度だったりします。

例えばスウェーデン。かつて首都のストックホルムではひどい交通渋滞に悩まされていました。当時様々な検討が行われたそうなのですが、最終的に採られた施策は道路を拡幅するなどといった交通容量を拡大する策ではなく、通行する車両に通行量を課すこと。具体的には、6:30~18:30にストックホルム中心部の課金ポイントを通行した車に対して、少額の通行料を請求しています。

そして意外と認知度が低いのですが、ロードプライシング制度は2021年の東京五輪の際にも行われました。それは日中の混雑時間帯に首都高の料金を1000円値上げするというものでした。政策効果についてはいまだに議論がありますが、少なくとも導入しないよりかは効果があったのではないかという意見が大勢です。

ロードプライシング制度の効果

前述したロードプライシング制度は普通、渋滞対策という目的で導入されます。ではなぜロードプライシング制度を導入することによって渋滞が緩和・解消するケースがあるのでしょうか。

まあ感覚的に当たり前と言われればそうなのですが、通行することに対してお金がかかるから、ですよね。無料で走れるのであれば走ろうと思っていた人でも、少しお金がかかるようになると走るのやめようかな、と考える人が出てきます。

特にこれは行動経済学の話なのですが、かつて無料だったものが少しでも値上げされると忌避感情を抱きやすいとされています。例えばスーパーの試食。無料だったら食べようかなと思いますが、1口5円とかになると私は払おうとは思いません。皆さんはどう感じますか?たかが5円ですが、無料というのはとてつもなくインパクトが大きいものなんです。

そしてもう一つ経済用語として「負の外部性」と呼ばれるものを導入しましょう。かなり端折って説明すると、負の外部性とはある財・サービスを消費することによって全く関係ない別の要素にマイナスの影響を与えてしまうことです。渋滞問題に置き換えてみると、日本で一般道を走行することは無料です(私的費用)が、渋滞によって公害だったり物流の滞りが遅くなったりしている状況(社会的費用)です。

需要と供給という言葉を聞いたことがあると思います。需要と供給は長期的にうまいこと釣り合って均衡するのですが、負の外部性が発生していると話が変わってきます。今回の渋滞の場合、望ましい交通量は道路を走る需要と社会的費用が釣り合うところです。しかし、実際には需要に対して私的費用が釣り合ってしまい、望ましい交通量となっていないのです。

需要と社会的費用が交わるのはO点
需要と私的費用が交わるのはE点
E点の方が交通量が多くなってしまっている

そこで、ピグー税という考え方が編み出されました。これもざっくり説明すると、外部性のもととなっている所に課税をしようという考え方です。ロードプライシング制度もこの考え方に基づいています。

渋滞対策で言うと要は走る車が多すぎるのだから、そこにお金をかければいいじゃん、というお話です。これによって渋滞を緩和することができるのです。


そしてもう一つ、ロードプライシング制度には副次的な効果があります。ロードプライシング制度によって得た収益をもとに、道路の運営者は道路のキャパシティを増やすことができます。道路の車線数を増やしたり、バイパス道路を建設するといったことを行うとさらに渋滞を解消することができます。

このハード面の対策はロードプライシング制度と一緒にやらなければ効果がない場合もあるという研究もあるのですが、すでにだいぶ長いエントリになりそうなので今回は割愛します。

では日本でやれる…のか?

ここまでロードプライシング制度について説明してきましたが、では実際のとこと日本の一般道で導入できるのでしょうか。

障壁は2つあると私は考えています。一つは徴収方法に関して。前述したロードプライシング制度の例で挙げたスウェーデンではナンバープレートをレーザーで撮影する方法で徴収しているそうです。(国交省コラム参照)一方で日本ではETCが主に高速道路で普及していますが、ETC車載器がない車もあります。

ETCで統一するのであればETC車載器のない車に対してどう対応するのか、という問題が生まれますし、別の方法を採るのであれば技術的、設備的な初期投資が大きくなります。そこの折り合いをどうするか、というのは一つ問題になるかなと思います。

そして、私個人としてはこちらの問題の方が大きいのではないかなと思っているのですが、国民性の問題。スウェーデンではロードプライシング制度、かなり好意的に受け止められているようなのですが、日本でいざ導入するとなった場合に国民がどう反応するかというのは未知数なところがあります。今までずっと無料だったのに、公共なものだからお金をかけるのはおかしい、などといった反対意見が上がる可能性があります。ましてや高速道路だって本来は無料で現状は有料期間が延長されているだけという有様、そして昨今増税に対しては相当国民が敏感ですので、一般道に課税同等の措置をするとなると相当の反発が予想されるのではないかと思います。


というわけでロードプライシング制度のあれこれについて考えてみましたがいかがだったでしょうか。ちなみに、ことCSLにおいて後者の問題は、市民たちが快く受け入れてくれるので問題ありません。(ゲームですからね笑)

それではまた。

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