ラウンドアバウト(環状交差点)のメリットとデメリットを紹介

皆さんはラウンドアバウトという交差点をご存知ですか?ラウンドアバウトとは、「車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であつて、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているもの」のことをいいます。(道交法第4条第3項)フランスのエトワール凱旋門を中心とするラウンドアバウトは特に有名ですね。

日本でも2014年9月に施行された道路交通法改正を受け、「環状交差点」という名称で整備されています。(このページではメジャーな呼び方であるラウンドアバウトと表記します)

欧州では多くの場所で見られるラウンドアバウトですが、日本では2021年3月時点で126箇所とあまり多くはありません。(警察庁調べ:環状交差点の導入状況 より)

今回はそんなラウンドアバウトを導入するメリットとデメリットを解説していきたいと思います。

メリット

交通事故の低減

ラウンドアバウトの大きなメリットとして、交通事故の低減が挙げられます。

ラウンドアバウトは一方通行に周回する構造となっているので、一般的な交差点よりも事故が起こりにくくなります。例えば一般的な交差点では右折する場合、対向車線を跨ぐ必要が出てきます。この際に対向車と正面衝突しやすく、右折時の事故発生率は高くなっています。

ラウンドアバウトでは常に一方通行で対向車線も存在せず、また交差箇所も少なくなっているためそのような事故は起こりづらいです。実際にアメリカのNational Cooperative Highway Research Programによれば、ラウンドアバウトを採用した様々な国の平均事故削減率はすべての事故で40%近く、死亡事故で60%近くの削減が見られたそうです。

Roundabouts: An Informational Guide Second Edition より

郊外での渋滞の緩和

ラウンドアバウトは交差点が無く待ち時間が発生しないので郊外の道路では渋滞しづらいです。郊外の道路は交通量が比較的少なく、すぐにラウンドアバウトを通り抜けることができます。

災害時も機能

ラウンドアバウトは信号を必要としないので電気代が必要でない上、災害などで電気がストップしてしまった場合もラウンドアバウトは機能し続けます。2014年の道交法改定は東日本大震災以後、電気を必要としないラウンドアバウトへの注目が集まったという背景もありました。

デメリット

都市部の渋滞の増加

都市部にラウンドアバウトを設置してしまうと渋滞の原因になりやすいです。ラウンドアバウトの出口のどこか1箇所でも渋滞してしまうと環状の道路全体が詰まってしまい、ラウンドアバウトに進入することが難しくなってしまいます。

現に日本でラウンドアバウトが導入されているのは大抵は地方であり、都市部のラウンドアバウトは非常に少ないです。

土地を広く取る

ラウンドアバウトは一般的な交差点よりも広い土地を必要とします。日本であまりラウンドアバウトの導入が進んでいないのはこれが最も大きな原因だと筆者は考えています。環状の道路の半径を狭めると、カーブがきつくなってしまう上に合流する道路と分岐する道路が近くなり車が詰まりやすくなってしまいます。これもラウンドアバウトが都市よりも地方で採用されることの多い理由です。

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